児童手当と扶養控除撤廃の舞台裏を深読みしてみる


うーん、何でこうなっちゃうんだろうか?・・・

「異次元の少子化対策」と銘打った岸田首相肝いりの政策が迷走に迷走を重ねている。

まだ結論には至っていないものの、児童手当を18歳まで支給する代わりに、高校生の扶養控除(16歳から18歳が対象:年間38万円/1人)を撤廃する案が浮上。

そうなると、児童手当は増えるものの、税金も増えるのでプラスとマイナスが相殺され、結局のところ得なのか損なのか分からない。

ざっと手計算すると、年収800万円くらいまでは「多少プラス」だが、それを超えるとマイナスになりそうな感じ。注:実際には家族構成や適用できる控除枠によっても異なる。

また「第3子以降は毎月3万円」ということが大々的に報じられてはいるが、これも良く読むと、

第3子=3番目の子供

というわけではない。

どういうことか?

実際の例を見た方が分かりやすい。

第1子 長男 18歳
第2子 長女 16歳
第3子 次男 12歳

このような家族構成の場合、次男が「第3子」となるが、児童手当はあくまで「児童」が対象となるので、長男18歳は高校を卒後した段階で「児童」ではなくなる。(そういう定義)

そのため、高校卒業後には児童手当の対象は、

第1子 長女 17歳
第2子 次男 13歳

となり、第3子の3万円/月は適用されない。

何だか狐につままれたような話で、であるならば「第〇子」などという言葉は使わず「第〇児童(18歳以下限定)」とでも書けば良いではないか?

一体何をやっているのかなぁ、と呆れるしかない。

このような状態に陥っているのは、各勢力がそれぞれの主張を繰り広げているから。

岸田政権は「異次元の少子化対策!!」を掲げているが、これに対抗しているのが財務省。

少子化対策自体に反対しているわけではないだろうが、

「財源どうするのよ・・・ドヤ顔で配る(児童手当)なら、何か(扶養控除)減らしてよ・・・」

と主張している。

なお、このような対立構造となると、いつも

「財務省はけしからん!!少子化という国家の危機を前にして、セコイことを言うな!!」

という論調になるが、これに関しては財務省が正しいと思う。

アベノミクスからコロナ対策にかけての大盤振る舞いで国債はパンパン。

かつここに来て金利が上がってきている。

今の超低金利だからこそ、1,000兆円を超える国債の利払いも低コストで済んでいるが、金利が上がればそうはいかない。

ただでさえ全体予算の1/3を国債で賄っているのに、ここに利払いコストが増大すれば、財政は危機的な状況となる。

国家の台所を預かる財務省としては、

「いい加減にせえよ!!政治家!!バカかお前らは!!」

というのが本音だろう。

そこに輪をかけて「バカなこと」を言っているのが、自民党の茂木幹事長。

「増税も、社保上乗せもせずに『子ども金庫』を創設し、予算の見える化を図る」

要は一般会計とは別に「特別会計」でやるということだが、特別会計はだいたい時間の経過と共に政治家や業界団体のお財布のようになってしまうので、逆に「見えない化」するだけだ。

また特別会計だとしても、その「会計」をどこから引っ張ってくるのか?という具体論がないスカしっ屁のような提言でもある。

次期総理を狙う茂木幹事長としては、とりあえずマスコミに取り上げてもらうためにぶち上げてみただけで、このあたり「目立ってナンボ」の蓮舫議員と手口は変わらない。

政府  児童手当拡充を!!
財務省 だったら扶養手当廃止!!
自民党 特別会計でやれ!!(相手にされていないが)

以上、三者三様の主張がぶつかり合い収拾がつかない。

だが、何となくゴールは見えてきた。

要は児童手当がメインで、後は扶養控除枠の調整というところだろう。

「なくす」というのは財務省の牽制球だろうから、最終的には現行の扶養控除38万円/1人の減額か、もしくはここに所得に応じた計算式を適用するか。(高所得者でもマイナスにならないよう配慮)

まあ、そんなところではないか?

得なのか損なのか分からない「異次元」に複雑な仕組み。

なるほど「異次元」ってこっちだったか!!

一本取られたなぁ~

本日のコラムでした。

 

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6月 3rd, 2023 by