ヘボい息子へ元ヘボかった父から・・・・


我が息子、6歳がヘボい。

親の贔屓目で見てもヘボすぎるため、家では

「ヘボ吉郎」

そう呼んでいる。

ヘボい。

この言葉に違和感を持つ方もおられると思うので、その意味を少々解説したい。

元々は「平凡である」ということが略された形容詞で、すでに江戸末期には使われていた記録があるそうだ。

だが実際の語感としては「平凡」と言うよりは、根性がない、とか、気が小さい、というような意味合いで使われることが多いように思う。

で、息子。

とにかくプレッシャーがかかる場に弱く、そのようなところに行くと

アワワワワ・・・・

と挙動がおかしくなり、両手の指を噛みまくる。

そして、些細なことで泣く。

それも半端な泣き方ではなく、大声、かつ犬の遠吠えのように泣くので、周囲は

「一体、この子に何がおきたのか?!」

と目を丸くしてしまうほど。

先日も近所のお祭りで子供神輿が出ていたところ、知人の方が「担いでみるか?」と声をかけてくださった。

しかし、とにかく慣れないことは「やらない!!出来ない!!」の一点張り。

そうなるとこちらも頑なになり「うるさい!!何でもやってみろ!!」となる。

結果、渋々担いだものの、ちょっと担ぎ棒が肩に当たっただけで絶叫。

終始泣きながら町内会を一周し、前を担いでいた小さな女の子からは「あんたうるさいんだけど・・・」と怪訝な顔をされる始末だった。

身体はデカいのにとにかく気が小さく、プールでも体操教室でも、習い事全般で先生の手を最も煩わすのがうちの息子だ。

こ、こいつはヘボすぎる・・・・

何事にも自分から率先して挑戦するお子さんなどを見ると、親としてはため息しか出ない。

かと言って内気かと言うとそうでもない。

自分の得意なテリトリーでは日の昇る勢いで調子に乗り、むしろ悪ノリの様相を呈する。

要は「悪ノリ」か「イジケてる」かの二択しかない。

「まあ、子供なんてそんなもんだよ」

皆さんそうおっしゃって頂くが、そんな方々にはこう言いたい。

私ほど子供を見ている人もいない。その私が言っているのだ。と。

FPや不動産の仕事を通じて、多くの家庭を訪問し、そこにいらっしゃるお子様たちと多く接してきた。

保育士や学校の先生とまでは言わないが、延べにすれば500人くらいのお子さんを見ている。

その「眼」を使い冷静に分析した結果が、

こいつはヘボい・・・・

である。

我が子だから甘くみているとか、逆に厳しく見ているとか、そんなことは一切ない。

そんな息子だが今から2年前、幼稚園に通っていた時、園の先生から

もしかしたら何かしらの障害の可能性がある。一度専門家に見てもらっては?

と指摘されたことがあった。

要は「変わり過ぎている」ということなのだろう。

ちなみに、実際、妻と息子がカウンセリングを受けた結果

「自分の感情のコントロールがまた苦手。だが障害というようなレベルではない」

というもので、妻も心の底から安堵したようだ。

だが、そんなことは私はすでに分かっている。

何故か?

この父こそ、初代ヘボ吉郎だからだ。

私が子供の頃は本当にひどかった。息子の1.5倍増しというところだろうか。

ちょっとしたことで大泣きするし、とにかく緊張する場が苦手で、プレッシャーがかかると指を噛むどころか腕ごと食っていた。(腕を噛み、その歯形を見ると安心するという謎の現象)

言っちゃいけないこと、やってはいけないことの線引きが出来ず、悪ノリも半端じゃない。

今はすぐに「〇〇障害」という診断が下されるようだが、当時の私ならおそらく簡単に2,3のタイトルを授けられていただろう。(逆に今は簡単に〇〇障害と分別し過ぎるのかもしれない)

その点、息子など所詮は地区大会レベル。

関東大会レベルの私の足元にも及ばないことを知っていたので、

「◯◯障害などではない。単にヘボいだけ

ということなど、専門家の意見を聞かずとも分かっていた。

そして、そんな私だからこそ息子の気持ちは痛いほど理解出来る。

注目されたいが故に突飛な言動を取るのに、実際に注目されるとテンパってしまう。

何事も挑戦して格好良いところを見せたいのに、失敗するのが怖い。

自分の気持ちを言語化出来ないジレンマで、急に悲しくなって泣く。

フッフッフ。

お前の考えていることなど先刻承知。

私が40数年前に通った道だ。

だが過剰な同調はしない。

凄いものは凄いと褒め、ヘボい時にはヘボいと言う。

そして、いつも最後に

「昔の俺に比べればお前なんかスーパーヒーローだ」

そう付け加えている。

始めから何でも出来る奴なんていない。

むしろスタートで出遅れているくらいの方がドラマ性があって良いではないか。

この初代ヘボ吉郎の父も懐の深い先輩、友人たちに囲まれ、厳しくも温かい指導を受けながら成長した。

で、いつの間にか、ヘボさも悪乗りも「個性」となって、逆に社会で生きる上には強みに。

周囲のお陰で、そこまで自分を変えずとも何とか生きている。

だからきっとお前も大丈夫だ。と。

本日のコラムでした。

 

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11月 4th, 2023 by