ジョニー・デップ vs アンバー・ハード 真の敗者


随分長いこと揉めていたジョニー・デップ(以下、ジョニデ)とアンバー・ハード(以下、アンバー)の一件。

元々はアンバーがジョニデから「DVを受けた」と主張して離婚を申請したのだが、ジョニデは「そんな事実はない」と反論。

結局、お互いがお互いを名誉毀損で訴える事態に発展したが、DVの証拠となった音声や動画などが捏造であることが判明し、最終的にはアンバーからジョニデに1035万ドル(14.5億円:1ドル140円換算)、逆にジョニデからアンバーへ200万ドル(2.8億円)の支払うことになった。

「双方に名誉毀損があったが、アンバーの方が重い」ということなのだろう。

結果、アンバーは差し引き835万ドル(11.7億円)を支払うことになったのだが、この件以降、ほとんど仕事がない状態であり支払い能力がない。

そこで双方の弁護士が話し合いをし、賠償金を大幅に減額。

100万ドル(1.4億円)を支払うことで決着した。(昨年末の話)

それが先日、支払われたとのことで、そのニュースを目にした方も多いのではないだろうか。

なお、アンバーはこの訴訟で弁護士費用が600万ドル(8.4億円)近くかかっているとも言われているが、この費用も賠償金(100万ドル)も、支払ったのは

保険会社である

流石、訴訟大国アメリカ。

何とも凄い話だ。

アンバーが入っていた保険は2つ。

1 トラベラーズ・コマーシャルの火災保険
支払上限:50万ドル

2 ニューヨーク・マリン・アンド・ジェネラルの賠償責任保険
支払上限:100万ドル

1のトラベラーズの火災保険にはオプションで「弁護士費用特約」が付いており、先の600万ドルの訴訟費用もこの保険で賄われている。

だが、上限が50万ドルなのに何故600万ドルもの補償が受けられているのか?

ネットの情報を見ると、

保険会社の重役がアンバーの魔性の魅力に取り憑かれたのだろう・・・

などと、下らない書き込みがあったが、そんなことあるわけがない。

ここからは推測だが、上限50万ドルについては「一つの訴訟あたり」とか「1年に1回まで」など、約款上の「隙」があり、訴訟を細かく「分けたり」、請求のタイミングをずらしたりなど、アンバー側の弁護士にその隙を突いたのではないだろうか?

このあたりは弁護士の方が一枚上手だったということだろう。

結果、トラベラーズは「火災保険のオプション」で高額の訴訟費用を負担する羽目となった。

一方のニューヨークは、アンバーに極めて冷淡な態度で、

この行為は故意であり、それらは約款上免責事項にあたる

として、裁判費用の負担も、賠償金の支払いを拒否。

当初、「DVだ!!」として裁判所に提出していた証拠のほとんどが捏造だったことや、虚偽の証言が多数発覚したことから「わざと自分でやったのだから知らんよ・・・」ということなのだろう。

このあたりは保険会社の方が筋が通っているような気がするのだが、それにブチギレたのがアンバー、そしてトラベラーズだ。

アンバーは

どんな場合でも賠償を肩代わりするべき!!

と激昂し、トラベラーズも

訴訟、賠償に関してはうちとあんたは共同責任だ!!半分払え!!

と主張。

それぞれがニューヨークを訴え、バトルロワイヤル状態に突入していた。

これらの訴訟がどのような経緯を辿ったのかは分からないが、最終的にはニューヨークが減額された100万ドル(1.4億円)の賠償金を負担したようだ。
(裏でニューヨーク、トラベラーズ間でのどのような負担となったのかは不明)

ちなみにジョニデはこの100万ドルを慈善団体に全額寄付し、男を上げている。

最後に関係者の負担を整理してみよう。

アンバー   プラスマイナスゼロ

ジョニデ   100万ドルゲットも全て寄付。別途、高額の弁護士費用を自己負担

トラベラーズ 600万ドルの訴訟費用負担

ニューヨーク 100万ドルの賠償金負担

双方の弁護士  大儲け

つまり、弁護士以外に利益を得た者はいない。

そして賠償金も訴訟費用も巡り巡れば大勢の保険料から拠出されているわけだけから、真の被害者はそれら保険契約者かもしれない。

アンバーが騒ぎ、弁護士が歓喜し、保険契約者が泣く。

何ともアメリカ的な話。

100万ドルが慈善団体の手に渡ったことだけが唯一の救いと言える。

本日のコラムでした。

 

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6月 15th, 2023 by