医療保険に入らないお金持ち、病気になって後悔するワケ


保険に入るなら、まず医療保険

実際、これは多くの方が思っていることで、これは業界を上げてのプロモーションの成果かもしれません。

しかし、この医療保険。

実はお金持ちほど入っていません。

理由はお分かりでしょう。

もし入院しても自分で対処できるからです。

「仮に入院したとしても、そこまでお金はかからないだろう。であれば、自分の手持ちのお金で何とかなる」

そのため、

なるかならないか分からないものに毎月お金を捨てるのは勿体ない

というのがお金持ちの思考なのです。

またこのようなことをおっしゃる方もいます。

「入院してお金を貰ったとしても、それって結局自分が積立てたお金でしょ?」

これも鋭いご指摘です。




実際の例で見てみましょう。

毎月4,000円の医療保険に加入。給付条件は以下の通りです。

・入院1日あたり 5,000円/日
・手術       5万円・10万円・20万円(手術の難しさによる)
・がんと診断されたら100万円

この保険に加入して、7年後に「運悪く」がんに罹患したとします。

20日ほど入院(5,000円×20日間=10万円)し、手術(20万円)を行いました。

そして、がんと診断されているので、100万円の一時金も受け取れますので、給付総額は130万円となります。

これまでに支払ってきた保険料の総額は、

4,000円×12ヶ月×7年=33万6,000円

それに対して130万円の給付金ですから、100万円近くの「利益」があるような気がします。

しかし、この保険はこれからも続いていきます。

一度がんをやった方が医療保険を解約することはまずありませんから(将来が心配なのでほぼ100%が継続)、当然保険料の支払いも続きます。

そうなると、今後も毎月4,000円の保険料を支払っていき、10年で48万円、20年で96万円、30年で144万円の保険料を支払うことになります。

結局のところ給付された以上の保険料を「後払い」することになるわけです。

実際には何度もがんに罹患したり、多種多様な病気で入退院を繰り返したりするケースでないと、自分が支払った保険料総額「以上」の給付を受けることは難しいでしょう。

このような点から「自分で積立てたお金を受け取っているだけ」というのは医療保険のほとんどの場面で正しい理解と言えます。



なお、このようなお話をすると、

「じゃあ入らない方が良いの?」

となるのですが、これがそうでもないのです。

と言うのも、お金があるから医療保険は必要ない、とおっしゃる方が実際に入院すると、必ずこうおっしゃいます。

「医療保険に入っておけば良かった・・・」

と。

時には「何で勧めなかったんだ!!」と叱責され、こちらとしても「必要ない」と言われたので話をしなかっただけなのですが、それでも「もっと熱心に勧めてたら違ってたかもしれない」と言われれば「すいませんでした」と苦笑するしかありません。

しかしながら、この気持ちも何となくわかります。

いくらお金持ちとは言え、お金が出ていくことを喜ぶ人はいませんし、しかも富裕層はほぼ個室に入りますから、1日4万円、5万円の部屋代がかかることも珍しくありません。

更には病気で痛かったり、苦しかったり。そんな状況では尚更気分は沈みます。

そんな時に多少なりともお金が入ってくれば、

アンラッキーだけど少しはラッキー

と思えるかもしれません。

実はこれが医療保険の「最大の効果」だと思っています。



数理的には「自分で貯めただけ」だとしても、弱っている時の「大きな現金」はそれだけで気分を「多少は」上げてくれるのです。少なくとも出ていくだけよりは余程マシです。

また医療保険というものが存在する以上、自分が入院した時にそれに入っていなければ

「入っておけば良かった!!」

と思うのもお金持ちでも、そうでない人でも当然に思うことでしょう。

もちろんこれは、レースが終わってから「あの馬券買おうと思ってたんだよ」と悔しがるのと同じようなものですが、このような「潜在的な損」に対する恐怖心が医療保険への加入動機となっている面もあります。

つまりは、保険業界の莫大な広告費を使ったプロモーションにより、

病気になったらお金が貰えるものだ

と深層心理に刷り込まれているのです。

「医療保険には意味がない、もしくは損」と思っているお金持ちであっても、その深層心理からは逃れられず、実際に入院をすると必要以上に「損をした」という気分になるのだと思います。

 

本日は人間の感情面から見た、医療保険の本質について解説致しました。

で、結局のところ医療保険には入った方が良いのでしょうか?

そればかりはご自身で決めて下さいとしか言いようがありません。

本日のコラムでした。

 

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12月 23rd, 2020 by