一流大学の3軍と、三流大学の1軍、どちらを採るべきか?


先日、ある会社の人事関係者とお食事をする機会を頂いた。

その会社は上場している大企業ではあるが、業界内での知名度はそれほど高くないそうで、そのため入社試験には

・一流大学出身だけど、おとなしくて、コミュ力が低い「3軍」

・三流大学出身だけど、個性もあって、コミュ力も高い「1軍」

のどちらが来ることが多いそうだ。

この両者を「1-3」と「3-1」と言っていた。

一流大学出身者からすれば、より上位の会社の滑り止めで

「せめてこの会社くらいには入りたい」

三流大学出身者からすれば

「この会社に入れれば大成功」

というところで、同じ新卒でもその思いには下限と上限の違いがある。

ちなみに、一流がどこか、という点は聞かなくても分かるが、どこからが三流か?ということに関しては、色々弊害があるのか茶を濁しておられた。



なお、

「私、日本大学なのですが、やはり三流ですか?」

という質問には「三流の一流です」というスマートな回答を頂戴した。

なかなか面白い話だな、と思って深堀りして聞くと、その方個人の「本音」で言えば、断然、後者、つまり3-1の方が魅力的で、実際に入社後にもそちらの方が職場にすぐ馴染むそうだ。

いわく

「一流大学出身者は、友達が入ったような『一流企業に行けなかった』という挫折感を持って入社してくるし、どこかに『◯◯大卒』というプライドがあるので扱いずらい」

「対して三流大学出身者は『俺なんかがこんな大きい会社に』と目をキラキラさせて入ってくるので、現場でも可愛がられる」

とのこと。

だったら、3-1で固めれば良いのでは?とも思うが、実際にはそうもいかないらしい。

言わば「企業の体裁」ではないが、やはり東大、京大、早慶あたりは「腐っても鯛」という感じで何人かは入れておきたいよね。という経営層の「何となくの意向」があるそう。

要は「うちには◯◯大出身者がいる」と言いたいだけのために採用する「クサタイ枠」

ちなみに、その方は人事のお仕事で、何社も渡り歩いているが、どこの会社でも

「経営者がアクセサリー感覚で良い大学の子を揃えたがる傾向がある」

と言っていた。

経営者からすれば、新卒に払う給料は同じなのだから、どうせなら人に自慢出来る方が良いということで、まあ、世の中そんなもんなんだろう。

なお、このような「1-3」を、完全に「クサタイ」としてだけ採用するのかと言うと、それも違うそうだ。

いわく「30代になると意外と伸びる子が多い」とのこと。

「3軍」なので人間的な派手さはないが、やはり子供の頃からコツコツやる習性が身についているので、着実に仕事をこなし「そのうち評価」されるそうだ。

一方の「3-1」だが、

20代がピークの子が多い、30代になるとこなれてきて、口だけ番長になる

そして、本当に出来る3-1は「給与に惹かれてすぐ転職する」とも言っていた。

結局のところ、1-3と3-1、どちらの方が良いのだろうか?

それに対しての答えは

「どちらも必要だが、長い目で見ればやや1-3の方がコスパが良い」

というもの。

3-1は会社に若い血を入れ、勢いをつけるのに大事だが、エナジードリンクのようなもので、長続きしない。対して1-3は漢方茶。飲んでもすぐには何の変化もないが、長い期間かけて会社に効能をもたらしてくれる。

とのこと。



また、会社の中枢を担うような、経営管理系の仕事はやはり「勉強が出来る人」の方が相性が良いそうで、結局、それらの中枢系は、高学歴の社員で占められることが多い。

経営者や人事担当者は、これらのことを体感的に知っているので、

「やはり学歴は無視出来ない」

のが現実なのだそうだ。

もちろん、あくまで傾向の話であって、全員に当てはまるわけではないが、すごく分かる気がした。

なお、最後にもう一つだけ気になることがある。

「1-3で本当に腐ってしまった人」

である。

これに対しては一言

ずっと学生時代の話をしている。40になっても、50になっても

それも随分寂しい話だな、と思うが、そういう人に限って「意外と幸せそう」なのだそうで、であるなら他人が口をはさむべきことでもない。

人事という仕事の奥深さを知った、本日のコラムでした。

 

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7月 8th, 2021 by