「格差」は犯罪を増やしているのか?ジニ係数、犯罪統計から推測


なんか治安悪くなってない?・・・・

テレビを見ていた妻がそう言う。

ちょっと前にも、電車の中で「勝ち組っぽい女性」を狙ったという無差別殺傷事件が発生し、先日も都心の駅構内で「硫酸を撒く」という常軌を逸した犯罪が起こった。

どちらも言語道断の犯罪だが、根底には「格差社会の歪み」が指摘されている。

ジニ係数

所得格差を表す数値で0から1の間で表され、1に近づくほど、つまり数値が大きいほど「格差がある」ということになる。

この出だしからすると、

日本のジニ係数は世界でも高い方だ!!

という論調になりそうだが、実はそうでもない。

2018年のデータだが、先進国の中ではアメリカが最も高く0.39、イギリスが0.37、韓国0.35、日本0.33となっていて、日本と同じ0.33にはスペイン、イタリア、オーストラリアなどが並ぶ。

何となくのイメージ(あくまで個人的な)で言えば、スペイン、イタリアなどは日本以上の格差があるような気もするし、逆にオーストラリアは「格差がない」印象を持つが、データ上では日本と同じということになる。

もちろん「一億総中流社会」と言われた過去(1970、80年代)の日本に比べれば、急激に格差は広がっているものの、日本には生活保護や、障がい者年金、傷病手当などのセーフティネットが機能していることから、世界全体から見れば「まだマシ」という感じである。

では一方の「犯罪の増加」についてはどうだろうか?

こちらは警察庁の統計。

まず結論から言えば「犯罪は減っている」

2021年1-7月の発生件数は32万5389件と、前年同期の35万7190件から3万1801件(8.9%)ほど減少。

そのうち、凶悪犯(殺人、強盗、放火、強制性交)については、2,444件と前年同期比(2623件)から179件ほど減少している。

但し、殺人、強盗については、全て前年比減なのに対し、強制性交(レイプ)のみ、758件→823件と増加。

なお、他の犯罪でも、暴行や傷害などの「粗暴犯」30083件 → 28838件(1250件減)、「窃盗犯」244109件→21822件(25889件減)となっているが、強制わいせつなどの「風俗犯」が4118件 → 4499件(381件増)となっており、犯罪全体は減っているのに、強制性交や、強制わいせつなどの性犯罪が増加していることが分かる。

注:他の分類では、詐欺も増加している。

「犯罪統計 令和3年1月~7月」より抜粋

これらのことから、やや強引に総括するなら、

・世界レベルから見れば、日本の格差はさほどでもない

・コロナにより社会的ストレスは高まっているが、犯罪自体は増えていない

・だがストレスのはけ口として「女性」をターゲットにした卑劣な犯罪が増えている

ということになる。

さらに推測すれば、お金があれば風俗なりに行くだろうから、加害者の大半は金銭的に困窮した男性である可能性が高い。

冒頭の「治安が悪くなっている」という指摘についても、女性視点から見た

男の「性衝動」による暴発事件の増加

という意味では当たっていることになる。

貧困層の男性。

仕事もない、金もない、彼女も出来ない、結婚なんて夢のまた夢。

世の中、金、金、金の評価基準で、SNSには金持ち自慢が並び、それを見ては「自分には何もない・・・」と鬱屈。そして根拠なくプライドだけは高い。

そこに来てコロナが追い打ちをかける。

そんな男性があふれている。

真の意味では誰もが勝ち組、負け組であって、一つの視点からだけの「勝ち負け」なんて意味はないのだが、勝手に他者と自分を比較し、勝手に落ち込む「精神格差」に追い詰められているのではないか?

もちろん、ほとんどの方は自分の出来る範囲の中で生活しているが、自暴自棄になった一部の「暴発」を防ぐことは難しいだろう。

無論、そんな言い訳に同情の余地はなく、こんな犯罪を起こす奴は厳罰に処すべきだが、なかなか一筋縄にはいかない問題でもある。

何とも暗いテーマとなってしまった本日のコラムでした。

 

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8月 26th, 2021 by