TKO木本さんの投資トラブルが大々的に報じられている。
元々は木本さんが知り合いの「A氏」に資金を預け、資金を預かりFXや暗号資産で運用してもらっていたのだが、あまりにリターンが大きいため、それを周囲に勧め始めたのがきっかけ。
結果として、多くの芸人さんがこのA氏に資金を提供したようだが、ある時から連絡が取れなくなり、実質的に資金の回収が困難になっている様子。
この問題について、テレビのコメンテーターなどは
・本当に運用していたのかすら怪しい
・自分で理解出来ないものにお金を預けてはいけない
・安易に他人を投資に誘ってはいけない
などなど、色々なことをおっしゃっているが、ただ実際には、
うーん、そうは言っても断るの難しいんだよね・・・
とも思う。
特に先輩後輩という関係性で、
「お前のためを思って言っているのに」
的なスタンスで来られると、これを断るのはなかなか骨が折れるだろう。
私自身の話をすると、今まで色々な「先輩」からこんな話を頂いたことがある。
・嘘みたいにがんが消える水のFCビジネス
・天才エンジニアが「画期的なソフト開発」を行う。その開発コストを出せば大きなリターンがある。
・ある地方エリアで新しい駅が出来るので、その周辺の土地を買わないか?
(まだ政治家が知るレベルで、一般には公表されていないという触れ込み)
・凄腕のディーラーがいてファンドを組成する。今なら一口1,000万円で投資できる!!
などなど。
ちなみに、その顛末を話す、とがんが消える水は経営者が薬事法違反で逮捕され、画期的なソフトは蓋を開けてみれば、何の変哲もない「予約システム」。
サービス提供にすら至らなかったし、そして、新しい駅は未だに計画すら発表されていない。
最後の凄腕ディーラーは、今回の木本さんのケースに似ているかもしれない。
こちらは数億円という資金を集めたもののその後、破綻。
伝え聞くところによると、実際には「運用」などという高尚なものではなく主犯格の数名が日々、FXで丁半博打(なんと一部は競馬)をやっていただけだったようだ。
但し、開始半年間は「馬鹿ツキ」が続き、月利で+30%を超えるリターンを叩き出してたようで、その「噂」で資金がもの凄い勢いで集まってしまった。
しかし、ここで暗転。
逆に負けが続くようになり、その負けを補填しようと、新規で集まったお金をそれまでの出資者に「リターンです」と嘘をついて渡し、より一層の出資を提案する自転車操業に。
結局、資金がショートし、最後は火だるまになって燃え尽きた。

どの案件も「まあ、そりゃそうなるだろうな。」というオチなのだが、実際、私の周りではこれに引っかかってそれなりの金額を失った人もいた。
なお、私自身はどの案件にも出資しなかったので被害は免れたが、断るのは結構大変・・・
ある意味で宗教の勧誘に近い。
誘う方は、そのプロジェクトが上手くいくと本気で信じているので、説得する熱量が凄いのである。
「悪意がない」というのはなかなか厄介で、断れば断るほど、こちらが悪いような雰囲気になってくる。
おそらくTKO木本さんも同じような感じだったのではなかろうか?
ということで、こんなことが何回もあったため、私なりの「断り方」を編み出した。
ご参考になればと思い、ここに記したい。

まず、この手の話が来たら
怪しい顔などせずに、まずは話を聞く
ということが大事。
怪しい顔をすればするほど、相手は躍起になるので、とりあえずは真正面から話を聞くのである。
「ほうほう」
そんな程度の相槌で良い。
そして、
「なるほど。良い話のような気もしますが、自分なりにメリット・デメリットを調べてみたいので、しばらくお時間下さい。」
と返す。まず、時間を稼ぐわけだ。
この場では何の反対もしない。
それ以上ごちゃごちゃ言ってくるようなら、
「まあまあ、ちゃんと考えますから」
という感じでいなす。
そして数日後「どう決心ついた?いくら入れる?」みたいな連絡が来る。
その時に、以下の流れの話をする。
1 非常に興味深い話で、出来ればやりたい
2 しかし手持ちの資金がないので諦めるしかない
3 手持ちの資金がない理由は「身内トラブル」一択
4 その身内に激ギレする
5 逆に金を貸して欲しいと申し出る
6 新たな生贄を用意(但し実際にはいない生贄)
文章にすると、こんな感じ。
いやー、先日のお話、調べてみたんですがなかなか面白い話ですね。
私自身としてはやってみたいんですが、ただ・・・(ここで間を置く)先日はお話出来なかったんですが、実はうちの弟に借金のトラブルがありまして(もちろん嘘。親でも子供でも可)今身内はそれで大変なんですよ。
私も200万円ほど出さないといけなくなりそうで・・・
本当に首絞めて殺してやりたいですよ!!これさえなければお付き合い出来たのに!!(相手が引くくらい「仮想の身内」に怒り狂う)
むしろ◯◯さんからお金借りたいくらいです・・・
ただ、私の友人にこの話をしたら、そいつがちょっと興味を持ってまして、もし良ければそいつを紹介させて下さい。
以上。
もちろん借金トラブルを抱える弟もいないし、興味がある友人もいない。
全部ウソだ
だがそれで良い。どうせあちらの話も嘘なのだから、嘘には嘘で対抗だ。
当然、あちらも「ホントかよ?」とは思っているが、怒っている(弟に対して)人間には、意外と何も言えない。そして新しい生贄も提示されているので、そこまで強くも出れない。
そして、この後は「架空の友人」をダシにして、「忙しいようだ」、「ちょっと待ってくれと言ってる」などと言って煙に巻く。
これで時間を稼ぐ。
経験上、半年もすればそのスキームは破綻して、しきりに勧めてきた人も意気消沈することになるので、そこで「チャンチャン」である。
もちろん、勧めて来た人が自分にとって何の魅力もメリットもない人であれば、この話をきっかけに縁を切っても良いのだが、この手の話を持ってくる人は、単にお人好しで、その投資に「かぶれているだけ」の場合も多い。
そのような時には何を言っても無駄なので、とにかく否定をせずに、かと言って同意もせずにただ時間が過ぎて、相手の熱が冷めるのを待つほうが良い。
今更の話だが、投資の世界に「甘い話」などない。
是非、それを肝に銘じて、変な投資話にひっかからないようにして頂きたい。
本日のコラムでした。
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