パニック障害について個人的な見解


先々週、ジャニーズ事務所の事業承継税制について、勝手な私見を述べ「一部の株を手放すことで茶を濁すしかない」と結んだが、10月2日の会見では全額納税、補償完了後廃業とのことで、想像以上に踏み込んだ内容だった。

こちら↓

そりゃ俺がジャニーズの社長だって事業承継税制使うよ

先代の業の全てを身一つで受け止めた立派な決断だと思う。

ちなみに会見にジュリー氏は欠席。

その理由はパニック障害によるもので、過度のプレッシャーの中、過呼吸にならずに自分の思いを伝えることが難しいとのことだった。

これに対し、一部マスコミや被害者からは「無責任だ!!」との批判がなされていたが、正直、これには怒りを禁じえないし、これこそ人権侵害ではないか?

私自身、パニック障害を患っている、もしくは患っていた方を何人か存じ上げている。

本当につらい病気だと思う。

この病気の根源は「不安」だ。

これは人間誰しも持つものだが、大半の人は日々の生活の中でなんとか付き合っている。

しかし、この「不安」がコントール出来ず、それが動悸や呼吸困難、めまい、緊張などという「身体的症状」となり、結果、学校や会社を休んでしまう等の「社会活動の阻害」が伴う状態を広義の不安障害と呼ぶ。

また、不安障害の中でも「パニック発作」、「予期不安」、「広場恐怖」の3つの症状が著しいものがパニック障害とされるのだが、特に広場恐怖がパニック障害の代表的な症状と言える。

まず「パニック発作」では胸の痛みや、動悸、息苦しさ、めまいなどを感じることで「自分は死んでしまうのでは?」という強烈な不安に襲われる。

これを何度も繰り返すうちうに「またいつ発作が起こるか・・・」という恐怖を感じるのが「予期不安」、そして「今、ここで発作が起こったら逃げ出せない」という不安から、電車の中や人混みなどを極度に避けるのが「広場恐怖」である。

私の先輩でも、このパニック障害で「電車や飛行機に乗れない」という方がいた。

電車はまだ対策の取りようがある。

指定席などを取り、なるべく混雑を避ける。万が一、発作が出たら途中で下車する。等で発作を抑えることが出来るからだ。

大変なのは完全な密室となる飛行機。

仕事などでどうしても飛行機を利用しないといけない時は、強い薬を大量に飲み、機中ではほとんど気を失っているような状態になっていたが、見ていて本当に気の毒だった。

また、ある知人も「不安」から逃れるために、オーバードーズを繰り返し、何度も救急外来に担ぎ込まれていた。

なお、救急外来に勤務していたお客様のドクターから聞いた話だが、

「パニック障害の救急は結構多い」

ということだった。

身体的には特に問題はないのだが、動悸やめまいで「死ぬ」という不安を感じ、自ら救急車を呼んだり、前述のように薬を飲みすぎて運ばれてくる例が多いのだそうだ。

しかし、レントゲン、CTを撮っても、血液検査をしても特に異常はないので、何の治療もせずに帰ってもらうしかない。

「救急外来という立場からすると、何もしてあげられないので、個人的には同情している。」

そうおっしゃっていた。

但し、社会の理解は中々おいついていない。

個人的に思うに、一つには名前が悪い。

不安障害もパニック障害も、その病気の深刻さを反映するほど、その名から深刻さを感じないからだ。

一部の心無い人の中には「不安なんて誰でもあるだろ?やることやってないから不安なんだよ」とか、「パニック障害ってパニックっちゃうんだろ?笑」などと言っている人もいたし、実際、私もそんな声を耳にしたことがある。

病名からの印象だけで、何も知らずに思いついただけのことを語る、恐るべき無知だ。

前述の先輩はある業界で突出した成功者であり、常人には足元にも及ばないほどの実績を残した人だったし、知人も極めて理知的で、何事も冷静沈着に物事を進めるタイプの人間だった。

そう。

「だった」のだ。

二人とももうこの世にはいない。

ご本人たちの名誉のために言っておくが自殺ではない。

だが、この病気の治療のために飲んでいた薬の影響があったように思う。

当然ながら精神に影響を及ぼす薬なのだから、体に良いわけはなく、そこから派生した病気が命を奪ったような気もする。

但し、このあたりは私が医師ではないので正確なところは分からない。

だが、本件には昔から興味があり、数冊の本を読んだが「薬を飲ませすぎる」というのは日本特有の問題でもある。

一つだけ言えることは、皆が思うほど軽い病気ではないのだ、ということ。

その点、ジュリー氏は会見などには絶対に出てきてはいけないし、「それで良い」という論調を述べるマスコミがほとんどないことに、心から失望している。

本日のコラムでした。

 

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10月 4th, 2023 by